やさしさの行方

「胸がきゅっと締め付けられるような。眠れずに朝を迎えたこと。きっとこれで終わりなんだってひとり呟く。魔法のような時間でそこには誰も入って来られないはずだった。僕のことばと君のメロディーが世界のすべてだったんだ。世界の矛盾に耐えられなくなった僕はそっと逃げ出してしまった。誰にも見つからないように。そっと。でもきっと君だけは見ていたんだと思う。これで終わり。これで終わり、と。あたらしい曲を書いた。冬にぴったりの素晴らしい曲だ。夢じゃあなく。現実を歌う。頭の中はぐちゃぐちゃで今にも破壊されてしまいそうな。そんな状態でも人は愛を叫ぶらしい。誰かに届け。そんな思いで。もうずっと会えないような。一生分の輝きを。音楽が君を越えて。出会わせてくれた。運命には逆らえないのだと。君から教わったのかなあ。これからうんと輝く為に。必要な時間だったんだと思う。誰も知らないところで泣いている浮浪者。一度見たら忘れられない強い存在を確かに僕は見た。この駄文が君に届く頃、僕は起きて顔を洗い生活の準備をする。音楽が其処で待っている。やさしさの意味を誰かがきっと教えてくれる。精神だとか気持ちだとかは遠くへ行ったり、近くに来たり。でも結局は此処にあるんだ。真ん中。心の真ん中にずっとある。其処でたくさんの人を見てきただろう。かっこいい奴、かわいい奴、優しい奴、意地悪な奴。心のカウンターは記録してる。どんな奴でも。でも古いのは段々と消されてゆくんだ。どんどん上書きされてゆく。だから悲しい思いも段々と薄れてゆく。忘れたくないものほど、遠ざかってゆく。どうでも良いことばかりが積み重なって、僕らは馬鹿になってゆく。大切なことってなんだろう。相手を思いやる心?諦めないきもち?どちらも僕に欠けている気がするなあ。困ったもんだ。なあ。ポジネガマン。人生において無駄な時間などひとつも無かったでしょう?っていつか笑って君に言われたい。今んとこはまあそんな感じなんだ。