夕べの残り滓

「酒」
逞しいから君を抱いた
哀しいから君を叱った
どくんどくんと音を立て
こぼれていった
酒が虚しい





「部屋」
狭く汚いこの部屋に
誰を呼ぼうか
友達のいないガキんちょか
言葉を知らないガイジンか
たまには一人でレコードと
本でも読んで過ごそうか
君は今頃外に立ち
誰かが来るのを待っている




「水」
汚れちまったこの俺を
水は綺麗にしてくれる
さらさらさらさら流れゆく
水のように真っ白な
水のように真っ青な
透明の中を泳げたら
人間なんてやめるのに





「花」
どんな綺麗な花でさえ
水がなけりゃあ枯れてゆく
だからといって溺れるほどの
水であっては駄目らしい
僕にはそれがわからない
花にも色々種類があって
愛で咲くやつもいるらしい
僕にはそれがわからない
愛って何処で買えたっけ




「夢」
毎日君の夢をみる
けれども君の名前も顔も僕は知らない 
一体何処のどいつなんだ
知らない人に僕は恋をしているのか 
今日も眠る
きっと君の夢をみる
僕は誰かの夢にいる
きっと君の夢にいる