或る女


「部屋の本棚をぱっと見たときに目に入ってきた一冊の本。有島武郎或る女。五年前くらいに読んだ気がする。内容はぼんやりとしか覚えていない。ただ題名がとても良い。或る女。或る、女。女。女たち。世の中にはたくさんの女がいる。しかし、下品な女は嫌いだ。気を遣えない女は嫌いだ。自分がいちばん偉いと思っている女は嫌いだ。つまり、慎ましやかで、心が優しい女が好きだ。とても優しかったあの女はいま海外に居るらしい。現地の変な男には気をつけろ。感情的なあの女はいま人前で歌うようになったらしい。現地の変な男には気をつけろ。家系図的には、俺の妹とされているあの女はいまバンドというものにはまっているらしい。何が○○○○だ。現地の変な男には気をつけろ。近所のコンビニの店員のあの女はいつもおっちょこちょいだ。だが、そこが良い。現地の変な男には気をつけろ。まだまだこの世の中にはたくさんの女がいる。俺の知らない性格の女もたくさん居るだろう。馬鹿な女には出来れば出会いたくないところだが。それにしても女ってやつは結局のところ強い生き物だ。生きる女と死ぬ男。という曲を昔俺は歌っていたが、その通りだと思う。世の中の男たちよ。死なないようになんとか頑張っていこうじゃあないか。いやはや。女ってやつは恐ろしい。」